『TEXHNOLYZE』【C-63】
『TEXHNOLYZE』(テクノライズ)
おススメ 【C-】
話数:全22話
今までに見た回数:2回
制作年:2003年4月-9月
ジャンル:SF・アクション
1. 設定(世界観) |
9 |
2. ストーリー展開 |
2 |
3. 登場人物設定 |
5 |
4. キャラデザイン |
6 |
5. 作画(背景/美術) |
6 |
6. 演出(アクション) |
5 |
7. 声優 |
5 |
8. 音楽(OP/ED) |
10 |
9. 音楽(BGM/劇伴) |
5 |
10. その他 最高の絶望感 |
10 |
合計 |
63 |
ストーリー
舞台は、絶望と暴力に支配され荒廃した都市・流9洲(ルクス)。老朽化したこの街は現在、外界からのネットワークから外されて孤立しており、街から他の都市へ行くことは困難だが、逆に行き場を失くした者達が流れ着く、吹き溜まりの場所と化していた。 生きるために賭けボクシングで生計を立てる少年・櫟士、近い未来を見ることの出来る少女・蘭、街の声を聞くことの出来るオルガノの長・大西京呉、そして未来の義肢である「テクノライズ」の技術に魅せられクラースから降りてきた科学者・ドク。 ある日、この地に一人の男が外界から降りてきた。男の名は、吉井一穂。ある野望を遂行すべく降り立ったこの男の来訪により、流9洲に様々な事件が発生し、やがて街全体を巻き込む事態へと発展していく。
Wikiより
まず始めに言及しておくと、とてつもなく「絶望感の強いアニメ」です。
作中には血が飛び散るシーン多数、性描写もところどころ出てきます。
エンターテインメント?なにそれ?と言わんばかりの挑戦的なアニメで、点数評価がとんでもなく偏る内容でしたが私は好きです。が人にはおススメできません。
まず始まって早々のOPが、テンポのいいロック&テクノなグルーヴで、マトリックスのサントラも作成したJuno Reactorの曲が流れます。初めて聞いたときは鳥肌が立つくらいビビっときました(古) 映像も曲とマッチしていてスタイリッシュ。ハッキリ言ってこのOPじゃなければ私は最後まで観ていなかったと思います。
というのもスピード感のあるOPとは対照的に序盤のストーリー展開はスロー。1話に至っては主人公のセリフが無いという前代未聞の始まり方。ハァハァと吐息ばかり聞かされます。さらにいきなり片腕、片足を無くし、救われること無く1話目は終わるのでほとんどの人がここで観るのをやめてしまいそう(笑)
さらに主人公に限らず、ヒロインらしき女の子も無口。それでいて心の声の描写は特に表現されないので登場人物全員何を考えているのか分からない。空気感や雰囲気の方を重視しているようで、しんとした時間が流れ続けます。おかげで感情移入もなにもありません。
中盤からやっと話が展開しだすと同時に血の嵐になり、テンポが急にあがる終盤に至っては血の海。残酷で救いの無い結末に耐えられる人しか最後まで観ることはないでしょう。
しかしそのごく一部の最後まで見続けた人の、またさらに一部だけが得られる「なにか」があり、それを感じることができると評価が大きく変わってくる作品です。
これだけだとさすがに説明不足なので内容のことに触れると、まずタイトルにもなっている「テクノライズ」とは今から未来の機械式の義肢で、人体との融合を目的とした科学技術。人体を補完するための物で、主人公は無くした手足を「ドク(女性)」と言う人物からテクノライズで得ることになる。そして舞台となるのは奈落の底「流9洲(ルクス)」という暴力と絶望に支配された街。実は地下街で、通風口より光を当て人為的に「昼」を作っており、地上への交通手段は、鉄道か通風口非常口の2つしかない。そのルクスに存在する、不良グループ・ヤクザ組織・原理主義者集団の3つの組織をを地上の世界からやってきた「吉井」と言う人物が抗争の火種を起こし掻き回す。
全22話のうち序盤・中盤の15話あたりまではこのルクス内での反社会的集団の権力闘争の話が中心で、理解するまでに相当の時間を要する。
私はここまでOPと「ドク」というキャラが気に入ったのでなんとなく見ていたのだが、はっきり言ってつまらない。
しかし、終盤に物語の真相が明かされていく瞬間、これまでのつまらない話をしっかり観ておかないと、このアニメの真骨頂である最高の絶望感は味わうことができない。前半のつまらない展開がどうでもよくなるような、印象的で幻想的なみんなが夢見た地上の世界の事実と、テクノライズから見た肉体と精神の関係。生きる力とは肉体を使った行動(暴力や性)なのか?病気や障害などと無縁なモノに宿る精神とは?
登場人物には感情移入もできず話も分からないまま進むため、つまらなく感じる序盤。血の描写が本格的に始まる中盤。そして一気に盛り上がるのにどんどん破滅していく終盤。視聴者を突き放しているとしか思えない自己満足アニメだが、最後までついて来られたものにだけ忘れられない「なにか」をくれるのは間違いない。
もし興味が出てこれから観る人がいたなら、その「なにか」が「時間かえせ!」で無いことを祈ります(笑)