『STEINS;GATE』【A+85】
『STEINS;GATE』(シュタインズ・ゲート)
おススメ 【A】
話数:全24話
今までに見た回数:2回
制作年:2011年4月 - 9月
ジャンル:SF・ミステリー
1. 設定(世界観) |
8 |
2. ストーリー展開 |
9 |
3. 登場人物設定 |
7 |
4. キャラデザイン |
8 |
5. 作画(背景/美術) |
9 |
6. 演出(アクション) |
9 |
7. 声優 |
8 |
8. 音楽(OP/ED) |
9 |
9. 音楽(BGM/劇伴) |
8 |
10. その他 鳳凰院凶真 |
10 |
合計 |
85 |
ストーリー
厨二病から抜け出せない大学生である岡部倫太郎は、「未来ガジェット研究所」を立ち上げ、用途不明の発明品を日々生み出していた。そして2010年7月28日、岡部は大学の単位取得のために橋田と共に向かった講義会場で、弱冠18歳でアメリカの科学誌に学術論文が掲載された天才少女、牧瀬紅莉栖と出会う。ところが、岡部はその数時間前にラジオ会館ビル(ラジ館)の8階奥で大量の血溜まりの中に倒れている紅莉栖を目撃し、そのことを橋田へ携帯メールで報告していたはずであった。偶然にも過去へとメールが送れる「タイムマシン」を作り出していたのだ。
世紀の発明と興奮を抑えきれずに、興味本位で過去への干渉を繰り返す。
その結果、世界を巻き込む大きな悲劇が、岡部たちに訪れることになるのだが…
悲劇を回避するために、岡部の孤独な戦いが始まる。
果たして彼は、運命を乗り越えることができるのか!?
Wiki&アニメデータベースより引用・加筆
ストーリーの概要を読んでも分かる通りシュタインズゲートは時間もののSFにあたり、話が難しく感じる人にはウケつけないかもしれないが是非最後まで読んでほしい。
この手のテーマには重要な「タイムパラドックス」という難問をどう魅せるか。と言う意味ではうまくできていたが、説明不足が多く、原作のゲームを未プレイ(私含む)の人間には理解できないまま進むことが多い。そのせいで序盤に視聴を切ってしまうことが多そうなのが非常に惜しい作品。
タイムパラドックスについて簡単に触れると、「過去に戻る理由」があり過去に戻り解決すると、「過去に戻る理由」は無くなってしまい、過去に戻らないのでは?という事と、そもそも「過去に戻る理由」があった未来が無かったのでは?ということが起こる。
この点を「平行世界」を組み合わせた考え方と、主人公の岡部が過去に干渉した際、干渉前の世界の記憶を留めることが出来るという設定でクリアし、変化を伴った世界を岡部の視点で見せている本作。
このシュタインズゲートの惜しいところは第一話の段階で、この重要なポイントのSF的な要素が見えないことで、初視聴時は1話終了時に「ん?どういうこと?」という気持ちが残った。数話進んだ後に見返せばすぐに理解できたのだが・・・。
そしてもう一つ、登場人物の設定に特徴があり、岡部やその仲間「ダル」たちがいわゆるアキバ系な会話をするのだが、そっちが濃いせいで原作を未プレイの人はこれが続きを観るかどうかの大きな判断基準になってしまいそう。ここで簡単にああ、こういうしゃべり方無理 !では勿体ない。
始まって早々突っ込みどころの多い展開が目立ち続けるが、「Dメール」で過去への干渉に成功してからは物語が大きく動き始める。私はここから一気にハマった。繰り返し1話から見直したら、意味が分かっていて観ると最初から面白いのだ。
「少しの文字情報」による干渉が大きく変える世界。これは現実私たちの世界でも「たった一言」で違った結果があったかもしれないことも示唆しているようで私は非常に奥深さも感じる。
たった一通のメールで街そのものが変わったり、誰かの人生を変えてしまう。そして岡部(と視聴者)だけが認識しながら話が進むのだが、何度も悲劇を繰り返すことになる。
特に終盤の展開はハラハラしながら観ることができ、続きがここまで楽しみなアニメは珍しい。
終盤の具体的な話だが【ネタバレ反転】
どの並行世界でも避けられない仲間「まゆり」の死。何度もそれを見続け、苦痛と同時に麻痺していく恐ろしさ。
岡部の厨二だけではない本当の魅力と苦悩が徐々に視聴者(ある意味同じ観測者)に伝わってくる。そして「クリス」との展開。
そして最後の「世界線」への到達時にはこれがタイムパラドックスやSFがテーマで興味を示したはずなのに、SF要素の不明点や崩れ(Dメールをキャンセルしていって本当に元の世界線に戻れているのか?クリスはなぜ記憶を残せたか?)が気にならなくなっていて、軸がSF部分から岡部の愛に変わっていたことに気づく。
何よりもあれだけ違和感のある変なやつだと思っていたキャラ達にいつの間にかどっぷり感情移入できた(させていた)ことには驚きだ。
終盤は展開が楽しみで面白いというと前半はそうでなかったような語弊があるので追記しておくと、この作品は前半にもポイントがある。前半の何とも例えにくい、怪しさ、演出、秋葉原の街並みなどの繰り返しが、後に意味を成しており、この世界観や空気感のおかげで気づかないうちに思いがけないところにハマっているのだ。
原作未プレイだと退屈な前半に感じるのは物語の設定上仕方がないが、毎回同じように時間を戻して過去を変えていく、という単調な一面は、ストーリー構成をもう少しうまくできたような気がしないでもない。しかし最後まで観てからもう一度見直してみると前半も別の見方ができて面白いので評価がし辛い。
SF要素だけに期待してみると腑に落ちないところは多々あるため正直評価は分かれるところだが、最初は退屈しても最後まで観ていただきたい。
できれば少しタイムパラドックスやタイムトラベルあたりの知識をかじって観るとなお面白いはず。
好みは分かれる作品ですが私はおススメの作品です。
エル・プサイ・コングルゥ