あにまな(animana)

アニメ(ANIMe)とマンガ(MANga)のレビュー記録ブログ。80点以上(A)でたら私のおススメです!

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『C』 副題『THE MONEY OF SOUL AND POSSIBILITY CONTROL』【A+88】

「C」第1巻 <Blu-ray> 【初回限定生産版】f:id:avaricevirus:20120810182632j:plain

C』(シー) 副題『THE MONEY OF SOUL AND POSSIBILITY CONTROL

おススメ 【A

話数:全11

今までに見た回数:3

制作年:20114 - 6

ジャンル:SF・アクション

 

1. 設定(世界観)

10

2. ストーリー展開

9

3. 登場人物設定

8

4. キャラデザイン

10

5. 作画(背景/美術)

9

6. 演出(アクション)

7

7. 声優

8

8. 音楽(OP/ED)

7

9. 音楽(BGM/劇伴)

10

10. その他 メッセージ性

10

合計

88


ストーリー

C』――それは未来を燃やす言葉。

西暦20XX年、日本――。 舞台は東京都国分寺市

近未来の日本。密かに混じるミダスマネーによって日本経済は回復しつつあったが、その恩恵は国民に反映されず、不可思議な事件や自殺は次々と起こり、不安な時代が続いていた。

 

大学生・余賀公麿は、突然現れた金融街の使者・真坂木に「未来を担保に、ご融資させていただきます」と言われ、多額の金を銀行口座に振り込まれる。公麿はその金に何気なく手をつけるが、そこで公麿を待っていたのは金融街にて自身と周りの人々の未来を代償にしたミダスマネーの奪い合い『ディール』を強制される『アントレプレナー』としての道だった。

主人公・公麿の運命は大きく変わってゆく…。

――変わりゆく、世界。 買い戻せ、未来。

Wiki&[ C THE MONEY OF SOUL AND POSSIBILITY CONTROL@wikiより

 

 

2011年春のノイタミナ枠で放映されたアニメオリジナル作品になるのですが、この時期ここ連日でレビューした『魔法少女まどか☆マギカ』『シュタインズゲート』あたりに囲まれた放映時期で、かつ、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(以下:あの花)』と並んで放映と、名作達に囲まれて日が当たらなかった気がする『C』。

というのも人によっては難解な内容なうえに雰囲気も独特。『あの花』と並べば余計に「なんだこりゃ?」に見えるわけですが、もっと評価されるべき作品だと思っています。

実は連日の2011年のA評価アニメ連続レビューはこの話をするためです()

話が脱線しましたが本題へ。

 

「金融」を学ぶというより「金」について考える

 

主人公「公麿」はバイトを掛け持ちしている大学生。ある日奇術師のような格好をした「真坂木」というミダス銀行の銀行員が現れ、「未来を担保に、ご融資させていただきます」と、多額の金を銀行口座に振り込まれるところから始まる。公麿はその金に何気なく手をつけてしまい、仮想空間のような世界「金融街」にて自身と周りの人々の未来を代償にしたミダスマネーの奪い合い「ディール」を強制され「アントレプレナー」としての道を歩み始めるところから始まる。

 

この「ディール」は自分の未来に関わる何かを形にしたパートナー「アセット」と共闘し、同じ立場のアントレプレナーとアセットと戦うことなのだが、作中ではディールのルールについてほとんど説明されないため置いてけぼりを喰らうかもしれない。

私は1話目にしてハマったので公式サイトをマメにチェックしており予備知識があったが、アニメだけだと詳細は不明なまま物語は進むことになる。

ディールのルールを簡単に説明すると、相手アントレプレナーに攻撃を当てると自分の利益、当てられると損益、制限時間内にどちらが多く相手の金を奪う(相手を攻撃する)か。また自身のアントレを守りながら攻撃も繰り出すのがアセットである。他にもアセットに「株」が存在しており、それを購入することが出来る。など結構内容が作りこまれていたりする。

しかし実はこの辺、最終的にはそれほど重要で無かったりするのでなんとなく雰囲気で観てしまっても正直問題は無い。必殺技の名前にM&A用語が出てきてそれっぽい内容の技になっていたりするが、これも厳密にはネタレベルなのでそこまで重要でもない。なので、ディールというバトル内容を観るにあたって特に金融の知識は必要ない。

というより知識ある人が観れば気になる点が多くでてしまいそうだ。

バトルの内容自体も複雑では無く、単純な勝ち負けを描写しているものが多い。

私としてはもっと戦略的なバトルが観たかったので正直物足りなかったが、そもそも1クールで描ききれないほどのテーマが隠れており、バトルの簡略化も含め11話完結なのが本当に惜しい。

 

正義も悪も無い

 

 ストーリーに話を戻すと、ミダスマネー(金)が「未来を担保にしていることの意味」が見えだしてからは少しずつ姿を変えていく。未来を担保に戦うことで現在を守る・豊かにすることに繋がるのだが、守るものは人それぞれで、家族や生活、会社、現在を失わないように未来を失う覚悟のもと戦う(ディールする)話へ。

公麿は出会ったアントレプレナーたちの様々な考え方に触れ、悩み続けます。

終盤では「担保となった未来を失った人」から「国」へ話が移ります。日本にミダスマネーがどんどんと溢れ出し、日本で未来を失った人間が増え、目の前で子供が消え始めます。この辺の描写は非常にギリギリですが現実世界への警鐘にもみえます。実際のところ現在、国債で未来を担保にお金を作っているし、大きく受け取れば原発なども未来へ負担を委ねる形で今を支えている一つで、2011年の春というこの時期で、偶然とはいえ深い意味を感じさせる話が繰り広げられました。未来を担保にすることの意味をアニメなりに問いたいのかと思って観ると感慨深い。

 

そしてそこには2つの立場と考え方があり、「今を守る」ために「未来を担保」にする人間と「未来を守る」ために「今を犠牲」に戦う事に決めた人間のドラマがそこにはあり、それを彼らのアセットという形でも見せてくれるのだ。

「今」存在するアセットの「真朱(ましゅ)」と一緒の世界より、未来で出会うであろう人間の真朱を選んだ公麿の導いた結果は・・・。

 

【ネタバレ反転】

未来は残り、街には子供達が戻り、人々の表情は明るくなった。結局、大切なものは金では無かった。というところがこのアニメの結論だったのだろうか。

経済が衰退してもそこから過去何度もそうしてきたように復活できる。金は無くとも、人と、未来と可能性があればやって行ける。

 

今思えば一話の冒頭の「しょせん金は金か あるいはそれ以上のものか それともそれ以下のものか 立場が変われば見え方も変わる 不思議なものだな 金というものは」と言う三國のセリフ。これでいきなりハマッたのだが、これこそが『C』の、いや「金」の本質そのものだから、いやはやよく考えられた面白い話だった。

 

 

このアニメ、勧めた人から見終わった後によく質問があるのでまとめておきました。

最後まで観た人で疑問が多く残った人は私の解釈ですが参考に推測してみてください。

【最終話後に残る謎の解釈 ネタバレ反転】

・真朱の正体は何だったのか?

父親のアセットとそっくりだったということ、でいるはずだった妹の可能性もあるとは思いますが、公式サイトの「CMonolouguesでは真坂木が「ある大学生はいずれ産まれるはずの娘か孫」と言っているので多分そういうことでしょう。

私には未来のどこかで公麿と真朱は出会うはずと、想像できる結末でした。

・キミマロと三国の写真はいつ撮った?

3話で竹田崎が撮っています。いい伏線でした。

・ジェニファーはなぜ笑っていた?

公麿が記憶を持っていることから、アントレプレナーは記憶を持ち越せると仮定すれば、予想していなかった公麿のまさかの勝利&輪転機の逆回転という結末に笑ったのかもしれません。

・公園の人は羽奈日じゃない?

真坂木が「かつて恋した人に似た人」と言っているので違う可能性が高そうです。家も表札から「生田」→「長田」になっていますし書き換えられた世界の別の誰か(違う羽奈日)と考えます。

未来の可能性は繋いだが、本来の今(今まで存在した今)を守れなかったということを言いたかったのかもしれません。

・なぜ「C」は日本を通過したのか?

日本の価値を暴落させ、ミダスマネーの価値を消失させたことで、金融街も影響力を失った結果通過したと思われます。

・なぜ未来を全て買い戻せたのか?

円の価値を0「ゼロ」にしたことで全て買い戻せたと思われます。未来を吸って金を作る輪転機が、逆回転し、金になった未来を吸い戻し未来を創り直したと考えるのがスッキリします。

・謎の人物は誰?

分かりません(笑) 「正解なんて無い、みんな正しいんだ。みんなが世界を良くしようと戦って、そして世界はより良くなった」 「どんな邪悪なものにも、どんな悲惨なものにも、かならず人類をより良くするための意味がある」ということをどうしても言いたかったのかと。

 

長くなりましたが、謎の多い先の読めないストーリー、金融をイメージした戦闘システム、国際金融を舞台にした壮大な設定(リーマンショックにひっかけたカリブ共和国の話は関心)、キャラクターデザインも描き分けができており、アセットのデザイン・設定もよくよく見ると奥深く、作画・演出もたまにキャラが3Dになることを除き満足、劇伴も最高に好みでした!

本音としては謎が多すぎるのでもう少し明確に、公式サイトを見ないと説明不足な部分をしっかり説明、他のキャラの掘り下げ、真朱とのイベント、簡略化された戦闘を作りこみ、2クールでじっくり観たかった。 2期もあれば観てみたい。優秀なアントレが揃う(?)アメリカとドルのミダスマネーの話でできますし、今回の結果金融街は消滅できなかったのであるから三國と同じ行動をとるかもしれない公麿を見てみたい。というか「真朱」をもう一度観たい(笑)

戦闘システムや、IFの話が多く想像できるこの世界観ならゲームもありかも。是非作ってほしい。というか企画させてください(笑)

本当にいいアニメだったと思います。うまく説明できた気がしませんが興味がでたら是非観てください。

 

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